グリーンエネルギー普及が進む中、世界中の多くの国々が続々と2025年以降のガソリン車の購入を制限する政策をスタートさせようとしています。制限政策が世界中に広がれば広がるほど、電気自動車(EV)の開発が加速し、駆動源であるバッテリーの技術にも大きな進歩がもたらされることは確実です。バッテリーマネジメントシステム(BMS)はEVのような大容量の電池を搭載する製品の効率や安全性を改善するうえで重要な役割を果たし、電池の進化と同じように重要な技術であることに疑う余地はありません。
▲Model 87001 バッテリーセルシミュレータ
BMSの検証に最適なツール
Model 87001 バッテリーシミュレータはBMSの性能を検証するために最適な試験器です。1チャンネルあたり定格電圧:0〜5V、定格電流:0〜5A及び双方向電流、電圧/電流測定、出力の監視機能を備えています。最大で480個のバッテリーセルを直列接続シミュレーション(4.2V/2000V)が可能です。電流範囲は0〜5A/0〜500mAの2つのレンジを持ち、測定確度±0.02%F.Sレベルでアクティブ/パッシブのバランス回路テストに対応しています。例えば0〜5Aレンジの場合(並列接続時の電力増加)、アクティブバランス設計回路の試験要件を満たすことのできる±1mAまでの測定精度と100uAまでの分解能で対応します。0〜500mAレンジでは、パッシブバランス設計回路のテスト試験を満たすことのできる±100uAの確度と10μAまでの分解能に対応し、バッテリーセルの消費電流を測定するBMS回路基板評価に適しています(いずれも±0.02%F.S.)。出力電圧制御はバッテリー動作範囲の上限と下限を試験するのに役立ちます。
BMS検証コストを大幅に削減
BMSの検証のためにバッテリーセルの実物を使用することも方法論としてあると思います。この場合、一般的には複数のDC電源を机の上に直列に接続して、セル監視回路(CSC)を手作業で電圧とパラメータを調整しますが、この方法では膨大な時間とスペースを必要とし、テストできる機能が限られてしまいます。さらにご存知のように電池は非常にナイーブな製品で温度、充放電速度、経年劣化などによって大きな影響を受け、繰り返し試験でも同じ特性を維持することができないために厳密な試験をすることが非常に困難です。実験室で電池をたくさん繋ぎすぎると安全性の問題も生じてきます。したがってコンパクトで16チャンネルを持ち、様々なパラメータを設定できる87001がタクトタイムの削減と試験の高度化に大きく貢献できる余地があるのです。
「統合が簡単な試験器」と「充実したドライバ対応」
87001は電気自動車、電動スクーター、電動工具および蓄電池のBMS試験に対応します。既に実績として一部のシステムインテグレータによるハードウェア(HIL)アプリケーションのテストベッドに組込まれています。これはクロマの試験器が「統合が簡単な試験器」と「充実したドライバ対応」ができる能力を持ち、インテグレータの懸念材料を減らすことに貢献しています。
クロマはパワーエレクトロニクス業界の試験器で得た豊富な経験をバッテリーテストに応用しました。クロマは長年にわたり大手自動車メーカーやバッテリー生産工場及び研究所と協力し、現実に即したハードウェアデバイスとソフトウェアツールを提供し、被測定物に対するノウハウを蓄積しながら、諸問題を解決し、必要とされる試験システムの充実に尽力してまいります。
製品ページ:Model 87001 バッテリシミュレータ