バッテリー微小内部短絡試験器 Model 11210

バッテリー微小内部短絡試験器
バッテリー微小内部短絡試験器
バッテリー微小内部短絡試験器
特長
  • 試験電圧:1~1kV(dc)
  • 充電電流容量:最大50mA
  • 広範囲漏れ電流測定(LC) :10pA ~ 20mA
  • 内部短絡による微小放電/フラッシュオーバー検出機能(A112100):
    • PDレベル及び回数表示
    • PD V/I 波形モニタリング
    • PDレベルリミット設定
    • PD V/I 波形記録(A112101)
  • コンタクトチェック機能
  • Charge-dwell-dischargeオートシーケンス
  • 最速試験時間(20ms/device)
  • 480x272pixelフルカラーディスプレイでタッチ操作可能
  • 標準インターフェース:Handler, USB, RS-232, Ethernet

アプリケーション

  • リチウムイオンバッテリー(LIB) セル絶縁抵抗試験(Jerry roll or dry cell状態)
  • キャパシタ及び絶縁材料各種絶縁抵抗試験

バッテリー微小内部短絡試験器 Model 11210はJerry rollあるいはDry cell状態のバッテリーの漏れ電流試験(LC)試験と絶縁抵抗試験(IR)を行う試験器です。一般的なLC/IR試験だけでなく、絶縁抵抗試験中に絶縁材料の内部で発生した部分放電(微小放電、Partial discharge=PD)及びフラッシュオーバーを検出する独自の機能を備えています。電解液充填前のバッテリーの微小内部短絡をPDにより検出することで、次の製造工程に入る前に不良品を発見し取り除くことで、現場で起こりうる潜在的な危険や市場に製品が出回ってからのリスクを防ぎます。

従来の絶縁試験方法とは一線を画した検出メカニズムによって、バッテリーの品質検査と評価のための新しいアイデアを提供します。このバッテリ微小内部短絡試験器は十分な充電電流容量を持っているため、試験の自動シーケンスによって従来の試験器よりも高速に試験を行えるため、タクトタイムの削減に大きく役立ちます。標準アプリケーションでの絶縁抵抗試験のシーケンスは “Charge→Dwell→Test→Discharge”で構成され、DUT1個につき≦20msで試験を実行できます(※)。これは生産ライン試験では、50個/秒のスピードで試験できるレベルの試験速度であることを示しています。

LC測定は10pA〜20mAの幅広い測定範囲で検出し、7種類の電流レンジ自動切換によって電流値の大きさに応じた高精度な測定を行います。したがって新しいDUTで試験する場合でも容易に素早く適した電流レンジで試験できます。

独自のメカニズムを持つ微小内部短絡試験を行うために、余計に時間がかかるということはありません。LC/IR試験と同時にPD検出試験を行うことができます。したがってLC/IR試験とPD検出試験の両方が必要な場合でも、DUT1個につき<20msの試験スピードは確保できます。

コンタクトチェックは試験の信頼性にとって非常に重要な項目です。しかし実際のDUTに対しての絶縁抵抗試験ではまだ行われていません。したがって不良な製品であってもコンタクトチェックを行わないがために試験で「合格」として処理され、欠陥のあるDUTが「偽合格」として次工程に進んでしまう危険性を持つことを示しています。特にDUTの絶縁抵抗値が非常に高い場合に発生しがちです。この試験器のコンタクトチェック機能は独自のメカニズムを使用してコンタクトチェックエラーを検出し、「不合格」判定を行います。このコンタクトチェック機能もわずかな時間で実行できるため、安全性のためにタクトタイムを犠牲にするということはありません。

11210はリチウムイオンバッテリーセル、キャパシタ及び各種絶縁材料の短絡試験の高速化と可視化に大きく寄与する試験器です。

※試験速度はDUTや試験内容に依存します

 リチウムイオンバッテリーが抱える安全問題 ― 内部短絡

リチウムイオンバッテリー(LIB)の火災や爆発に対する懸念が近年大きくなってきています。技術の進歩につれて、LIBのエネルギー密度の増加は安全性におけるリスクが大きくなる側面を持ちます。バッテリーの火災や爆発の危険性を排除するためにはそれらの根本的な原因を解決しなければならず、不良品においては市場に出回る前に排除される必要があります。最近の調査で電池内部の正極(アルミニウム)と負極にコーティングされたアノード材との内部短絡が火災または爆発の大きな原因になることがわかってきています[図1]。また内部短絡はセパレータ内部の金属粒子やバリなどのコンタミが原因となることがわかっています[図2]。

また、別の研究では負極にコーティングされたアノード材(一般的にはグラファイト)は充電段階で膨張し、充放電サイクルを繰り返し続けると負極の高さが24%以上増大することが示されています[図3]。アノード材はアルミニウム材のコンタミと接触するまで膨張し続け、最終的には接触による溶融、爆発など大きな災害を引き起こします。当然一般的には出荷するまでに安全性試験を含めた生産ライン内のバッテリー充放電サイクルがいくつかあります。例えば、生産ラインに欠陥を2つ持つバッテリーセルがあり、それぞれの欠陥はアルミニウム板に高さや長さが異なる独立したコンタミとします[図4のCase1とCase2]。ケース1は生産ラインで2番目の充電サイクルで検出されるでしょう。これはコンタミがアノードに接触するためです。しかし、2つ目のコンタミは通常の生産ラインレベルの充放電サイクルの回数で見つけることは難しく、市場に出荷され、顧客のもとで災害を引き起こす危険性が非常に高いといえます。

 PD検出/測定機能 (A112100必須)

11210の微小放電(Partial Discharge=PD)検出機能は電解液充填前段階のバッテリー内部の微小短絡欠陥を検出できます。バッテリー内部の電極金属板にバリもしくは絶縁層(セパレータシート)内の不純物粒子などの欠陥があると、それらの間の絶縁距離は短くなりますが短絡することはありません。ほとんどの場合、通常のLC/IR試験では検出できません。これは試験実行時に内部短絡が存在しないためです。11210は問題が発生する前の非常に早い段階で短絡する可能性を検出するのに役立つ唯一の計測器です。適切な試験電圧が印加され、適切なPDの閾値が設定されていれば、負電極と黒鉛材料の間の「有効距離」を「測定」するのに役立ちます(右枠参照)。

11210はバッテリー内部で発生する可能性のあるPDまたはフラッシュオーバーを異なる回路を使用して2段階で検出します。第1段階は11210が設定した任意の電流値でDUTを充電するときのCC(定電流)モードです。この段階では電圧レベルとその傾きを監視します。電圧上昇中の傾きの予期しない変化(傾きの緩慢化、下落)が検出され、PD発生(として示されます)としてカウントされます。第2段階はCV(定電圧)モードです。この段階では一定値の漏れ電流のみが流れているはずです。したがって、電流波形上に発生するパルスを監視することでPDを検出し、PD発生(として示されます)としてカウントされます。いずれも異常放電(PDまたはフラッシュオーバー)として記録されます。11210はこれらのモードの間にPD回数を検出するだけでなく、大まかな数値を測定します(※注1)[図5]。


▲ [図5]CC(チャージ)モードとCV(測定)モードにおけるPD/フラッシュオーバー検出概略図

▲ [図6]PD/フラッシュオーバーを検出した時の本体画面

CCモード(V監視)、CVモード(I監視)どちらでも最大99カウントまでPD回数を検出できます[図6]。PDの回数または大きさあるいはその両方を合格/不合格の閾値として設定することができます。これは、生産ラインで異なる特性を持つさまざまなデバイスを試験をする場合に非常に役立ちます。

注*1:PDパルスの放電量測定はパルス持続時間が100usよりも短く、パルス感覚が300us以上長い場合に最も正確に測定できます。

11210のPD検出および測定機能は独自のメカニズムにより一般のLC/IR測定器及び耐圧試験器では測定できない不良を検出することができます。一般のLC/IR測定器及び耐圧試験器は任意の試験時間内のLCの平均値のみを測定することができますが、試験時間内すべての電圧/電流波形を監視することはできません。さらに11210は安定的な試験電圧を出力することにより、電圧/電流波形上の非常に小さなノイズを検出することを可能にします。[図7]は電圧波形の詳細を監視せずにDUT内部のPDまたはフラッシュオーバーを検出できないことを示しており、試験時間内の波形の監視が重要であることがわかります。


▲ [図7]ひとえに試験電圧600Vによる不良といっても”左図”の破線部分の詳細分析なしに明確な欠陥を発見できません。11210は一般の絶縁耐圧試験器では難しい詳細分析が可能です。”右図”の破線部分をズームすると2回のPDがCCモードで1回、CVモードで1回(右側の画像)で発生していることが確認できます。

試験によって判明したDUT(PD発生)の欠陥分析のために電圧/電流波形を確認する必要がある場合に、オプションボードを増設することによって個々のデバイス試験の電圧/電流両方の波形を記録できます。 またズーム機能を備え、PD発生時の波形詳細を簡単に表示でき、画像キャプチャ及び記録が可能です。これらの機能によってR&DあるいはQA部門による欠陥分析、評価、追跡を容易にします。

 キャパシタ向けテストアプリケーション

生産ラインでは適切な冶具を製作することによって非常に高速なキャパシタ試験を行うことが出来ます(DUT1個あたり≦20ms)。また、広範囲かつ高精度LC/IR測定機能を備えています。したがって11210はキャパシタの新しいLC/IRメータの標準機としてもお勧めすることができます。

11210のPD検出機能はバッテリーの絶縁試験を念頭に設計されたものですが、LC/IR試験でキャパシタ内部で何が発生しているのかを明確に示すこともできます。また、さらなる絶縁品質向上のために11210が収集したデータを分析、評価に使うことができます。

一般的な絶縁試験では”charge→dwell→test→discharge”の4フェーズで実行されます[図9]。11210は最初の3フェーズの時間を任意に設定することができます(5ms〜9.999s)。絶縁試験では”dwell”フェーズは特に重要です。容量が大きく、絶縁抵抗が低い抵抗デバイスあるいはキャパシタの場合、充電電流がリーク電流測定に影響を与えないように調整するためには、長い”dwell time”が必要です。11210はこれらのパラメータ設定が簡単に行えるため、任意の時間設定で4フェーズ試験を自動的に順番に実行することができます。キャパシタの生産テストでは11210だけでなく他のクロマの試験器と組み合わせることで信頼できるインラインテストの設定や自動試験システムを構築できます。クロマはそのシステムを提供できるだけの知識と技術を持っています。


▲ [図8]11210 キャパシタ向LC/IR測定試験ブロック図

▲ [図9]絶縁試験シーケンス

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