Chroma 63202A-20 超低電圧動作直流電子負荷シリーズには63202A-20-1000と63202A-20-2000の2つのモデルがあります。CPUやGPUに適切な電源電圧を供給するPOLコンバータ、組込DC-DCコンバータ、電圧レギュレータモジュール(VRM)の設計、テスト、検証に最適です。
応答速度を向上させながら内部インダクタンスとインピーダンスを低減する革新的な低インダクタンス端子設計を特徴としており、特に1.0V以下の電源製品に適しています。出力銅バスバーは利便性を高める為に複数の取付ポイントを備えています。
63202A-20シリーズは0.25Vの低電圧で定格電流を取り出せる優れた低電圧特性となっています。そのため低電圧・高電流を必要とするDC-DCコンバータなどの試験に最適です。
この電子負荷には定電圧、定電流、定抵抗、定電力モードなど様々な基本動作モードがあります。さらにユーザー定義波形(UDW)と外部信号制御機能にも対応しており、より複雑な試験ニーズに対応する為実際の電流波形を正確にシミュレーションすることができます。
フロントパネルのディスプレイと操作ノブを使用して直感的に設定することが可能であり、さらにUSB、Ethernet、GPIB、CANを通じてリモート操作も可能です。
使用環境に応じてノイズ低減や急速冷却を選べる3つのファン制御モードを装備しています。静音モードは、わずか55dBで動作し研究開発ラボ環境に適しています。また過電流、過電力、過温度保護、過電圧アラーム機能を備えており開発およびテストアプリケーションに対して安全で信頼性の高いソリューションを提供します。
アプリケーション
63202A-20シリーズはCPU(VCORE)やGPUの電源テスト用に特別に設計されています。電源の負荷特性を正確にシミュレートし、電圧レギュレータモジュール(VRM)、電圧レギュレータダウン(VRD)、POLコンバータ、組込DC-DCコンバータについて信頼性の高いテストを実施することができます。低インダクタンス設計を採用しており、応答速度を向上させながら内部インダクタンスとインピーダンスを効果的に低減します。
CPUやGPUの電源シーケンスでは12Vまたは48Vの入力電圧がDC-DCコンバータによって0.6V〜1.2Vの電圧に変換されます。DC-DCコンバータのフロントエンドには40V/120A/1200Wと80V/60A/2400Wの出力能力を持つChroma 62000Pシリーズを推奨します。 また、DC-DCモジュールの出力電圧範囲は約0.6V〜1.2Vです。63202-20シリーズは20V/1,000A/2kWおよび20V/2,000A/2kWの負荷能力があり、低電圧かつ大電流のテストアプリケーションに特に適しています。
▲ CPUとGPUの電源シーケンス
低インダクタンスフロントバスバー端子
前世代の63200Aを改良し、出力端子を背面からフロントパネルに移した斬新な端子設計となっています。プラスとマイナスの端子の間には短絡を防ぐため絶縁カバーが取付られています。両側のプラスとマイナスのバスバーは相互に接続され、バスバー間の接触面積を増やしてインダクタンスを低減しています。さらに負荷端子には複数の固定箇所があり使用しやすくなっています。
▲ 63202A-20 Load terminal
低電圧操作特性
63202A-20-2000モデルは低電圧特性を備えています。負荷端子の最低動作電圧は0.25V、最大定格電流は2,000Aとなります。 ※配線による電圧降下で負荷端子が0.25Vを下回ると2,000Aの引き込みは出来なくなります。 安定した性能を維持しながら0.25V~0Vの範囲まで2000A以下の電流を引き込むことが可能です。詳細は下記の低電圧動作特性V-I曲線をご参照下さい。*.
注:内部電源部品のRDS(on)の仕様範囲により動作電圧が最低動作電圧を下回る場合、各負荷に対して実際に引き込み可能な電流値にはばらつきがあります。
動的負荷
電源負荷過渡応答試験は電源供給装置の基本試験です。負荷の瞬間的な変動によって出力電圧がオーバーシュートやアンダーシュートしたりすると、システムが正常に動作しなくなったり、部品を損傷する可能性があります。そのため、63202A-20は、プログラム可能な動的電流負荷(CCD)モードを提供しており、電流のスロープは最大で60A/µsに達し、負荷側の最小動作電圧は0.5Vまで対応できます。また、電流上昇の最小応答時間は20µsです。 プログラム可能なパラメータには、電流の高/低レベル、T1/T2、上昇率/下降率、実行回数があります。さらに、ループ回数を1~65,535回の範囲で設定することができ、単発の負荷シミュレーションはDC-DCコンバータの瞬間的負荷対応能力を評価するのに適しています。
▲ プログラム可能なパラメータ
低インダクタンスケーブル(オプション)
特許出願中の新型低インダクタンスケーブル(インダクタンス105nH / インピーダンス2.5mΩ)は、同じ60㎝の長さで比較した場合、従来ケーブル(インダクタンス310nH / インピーダンス8.4mΩ)と比べて、インダクタンスとインピーダンスを効果的に低減出来、インダクタンスによる動的応答の問題を改善します。また、この設計はインピーダンスによる電圧降下も減少させ、低電圧動作中の電子負荷の安定動作を確保します。
▲ 63202A-20と低インダクタンスケーブルに接続
負荷のモード
63202A-20は、定電圧、定電流、定抵抗、および定電力の各モードを備えており、これらの操作モードは幅広いテスト要件に応じます。定電流モードは、電圧源製品のテストにおいて特に重要で、測定対象が異なる負荷状況下でも安定した出力電圧を維持できるかどうかを確認することができます。定抵抗モードは、電圧源のスロー・スタートテストに頻繁に使用され、測定対象が起動する瞬間にどのような電圧変動が生じるかの確認ができます。定電圧モードでは、出力電圧を調整して設定された出力電圧での電流精度を測定できます。定電力モードは、電子機器の負荷動作をシミュレーションするのに最適で、他の電力消費用途の分析を正確に行います。
▲ CC Mode
▲ CR Mode
▲ CV Mode
▲ CP Mode
ユーザー定義波形機能
一般的な定電流、定電圧、定抵抗、定電力の負荷モードに加えて、従来の方法としては、保存された波形をPCを通じてDAQカードや波形発生器を介して電子負荷に送り込み、任意の波形で負荷をかける方法があります。
63202A-20はユーザー定義の波形*(UDW)*を提供しており、実際の負荷電流をシミュレートできます。オシロスコープで取得した実際の電流波形データや、ユーザーが編集した電流波形を、グラフィックな操作ソフトを通じて波形を63202A-20の内部メモリに保存できます。最大150万個の波形データを保存可能で、DAQカードや波形発生器のコストを節約できます。複雑な波形をシミュレーションする必要がある場合、ユーザー定義波形機能を選択し、63200Aのグラフィックな操作ソフトで設定するだけで、任意の波形を生成することができます。なお、ユーザー定義波形の仕様は、動的電流負荷(CCD)モードと同様です。
*ユーザー定義の波形の仕様は、動的電流負荷(CCD)モードと同様です。