電気自動車を含むリチウムイオン電池の火災の多くは、充電中に発生しています。その主な理由は、充放電を繰り返すうちに負極材料(グラファイトやブレンドシリコン)が膨張し続け(図1参照)、正極と負極の距離が短くなり、電極間にバリや金属コンタミが混入したことで電極間の有効距離が設計仕様より短くなり、内部短絡が起こりやすく潜在的な問題。
(図1)厚み測定法による黒鉛電極測定結果および充放電試験後SEM像
(2015/1 古河電工時報第134号 参照)
したがって、リチウムイオン電池セルの絶縁試験は、防火要求の観点から、絶縁抵抗の測定ではなく、電極間の「距離」試験であることが望ましい。 空気絶縁破壊電圧と距離の実測データ(図2参照)から、数µmの短い距離でも350V以上の絶縁破壊電圧があり、絶縁耐圧試験にはこれ以上の電圧が必要であることがわかる。 そのため、絶縁耐圧試験では、この電圧よりも高い電圧が必要となります。 この試験により、絶縁破壊(ブレークダウン)やフラッシュオーバーが発生しているか、絶縁距離が十分かどうかなどを確認することができます。 (図3参照)
(図2) 空気絶縁破壊電圧と距離との関係
(図3) 試験中の電気フラッシュオーバー
また、防火だけでなく、絶縁膜中の導電性微粒子(リーク電流)による過度の自己放電発生可能性があります。この部分での検出電圧はそれほど高く要りません。ただし、真の漏れ電流が表れるまで測定時間がより長いです。 Chroma 11210+Flash(フラッシュ)試験機能は、高電圧と低電圧を用いて2段階試験電圧にて、タイミング、サンプル積算時間、測定レンジ、合否判定基準を設定でき、充分リチウムイオン電池セルの絶縁品質検査の二種類異常検出ニーズに応えます。(図4参照)。
(図4) LIB絶縁試験におけるChroma 11210+Flash(フラッシュ)試験機能
独自の電気フラッシュオーバー(Flashover)検出技術と+フラッシュ(Flash)試験機能を備えた電池セル向けChroma 11210バッテリーセル絶縁試験器は、リチウムイオン電池(乾電芯)に使用し、電解液注入前の有効絶縁距離確認、異常な電子漏れ電流があるかどうかなどで、リチウムイオン電池発火のリスクを低減し、絶縁不良の潜在した電池が次の生産段階や最終市場に流出することを防止することができます。
Chroma 11210バッテリーセル絶縁試験器 |