再生エネルギーと蓄電システムの統合に向けた試験課題

09 Feb 2023

各国の再生エネルギー政策や電力グリッドの必要性から、再生可能エネルギーや蓄電システム関連技術は今後10年でブームとなることが予想されます。ブルームバーグNEF(BNEF)によると、世界のエネルギー貯蔵設備は2030年末までに358GW/1,028GWhのピークに達し、2020年末までにカウントされた容量と発電量の20倍以上になるとされています。エネルギー貯蔵の用途には、主に再生可能エネルギー源(太陽光/風力発電)と並行した大規模な貯蔵システムと、住宅用、商業用、産業用の中小規模のシステムがあり、住宅用、商業用、産業用のエネルギー貯蔵設備は最も普及しています。BNEFによると、中小規模のエネルギー貯蔵設備は、貯蔵システム全体の容量の4分の1を占め、将来的には世界的に一般化するということになります。

太陽光発電と風力発電も天候の変動により安定した電力供給ができないため、蓄電池の利用が一般的です。蓄電システムの電圧仕様は1,000V未満から1,500Vの高電圧へと進化し、電力はMW以上へと増加しています。電力会社では、自動周波数制御(AFC)や高速応答負荷遮断リソース(FRR)がこれらの大規模蓄電システムの最も一般的な用途となっています。最近のエネルギー価格の高騰やエネルギー価格の高騰や不安定さから、自宅に蓄電システムを導入する人が増えています。住宅用太陽光蓄電システムの主な構成要素はソーラーパネル、ハイブリッドPVインバーターと蓄電池です。約5kWh~15kWhの蓄電池と約10kWのハイブリッドインバーターがエネルギー変換の重要な役割を担っています。


▲家庭用・業務用電力貯蔵システム構築

 

クロマは再生可能エネルギーと蓄電システム向け測定ツールを提供

このような蓄電池や風力発電の応用の流れの中でクロマも小型でエネルギー回生が可能な多目的試験機を発売しました。DC電源、AC電源、バッテリーのテストやシミュレーションを行う機器も含まれます。自動測定システムに統合された多機能ソフトウェアプラットフォームも用意されています。下記紹介をご参考してください。

61800シリーズ双方向交流電源(グリッドシミュレータ)はハイブリッドインバーターテストにおける省エネ・省CO2対策を対応

Chroma 61815電力回生式双方向交流電源は4象限出力機能を備えており、インバータグリッド統合試験用の各種電圧と周波数出力をシミュレートするだけでなく、インバータオフグリッド機能試験用の4象限のAC負荷をシミュレートします。発売以来、大手蓄電機器メーカーに採用され、ハイブリッドインバーターの試験で急速なご採用実績を頂いております。効率的なエネルギー回生機能により、主電源試験シミュレーターの消費電力を節約し、リスト、パルス、ステップなどの複数の高度なプログラミング機能により、さまざまな主電源異常のシミュレーションが可能です。オプションの回生式交流負荷機能により、エネルギーをグリッドに回生することができ、メーカーが省エネや二酸化炭素削減の試験要件を満たすのに役立ちます。整流・Lead/Lag固有のプルモード、半波長プルモード、Stand-Byリアルタイム応答などを用いて、様々なタイプの整流可能・不可能な負荷特性をシミュレートすることができます。Chroma 61815は、ハイブリッドインバーターの交流電源試験と交流負荷試験のニーズを1台で実現し、蓄電デバイスの試験において高効率・高CP値のソリューションを可能にします。


▲Chroma 61815はハイブリッドインバーターのACパワーおよびAC負荷試験の要件を1台で実現する

 

3 in 1電力回生式双方向直流電源+バッテリーシミュレータ機能は新型蓄電池インバータ試験対応

Chroma 62000Dシリーズは1台あたり18kWに設計され、家庭用蓄電システム(10kW未満)、工場用蓄電システム(50~150kW)の使用に適しています。太陽電池アレイのシミュレーションと吸収したエネルギーをグリッドに回生し、エネルギーフィードバックロードを備えた3in1双方向直流電源装置となります。この計測器は汎用性が高く、複数の電源を簡単に組み合わせることができるため、研究開発や生産現場において、省エネルギーや二酸化炭素削減沿った試験システムを柔軟に調整することができます。

モデル62000Dはソーラーバッテリー並列シミュレーション機能のオプションがあります。装置にEN50530とSandiaのSASモデルが組み込まれ、ユーザーはフロントパネルの操作やリモートコントロール(SCPI)を介して使用できます。ソフトウエアには静的および動的な最大電力点追従(MPPT)試験、日陰のI-V曲線シミュレーション、実際の天候のIV曲線シミュレーション、自動プログラムによる静的および動的MPPT機能試験を行うことができます。これらは、太陽光発電インバーター機能の検証に非常に適しています。

バッテリーシミュレータソフトパネルでは、バッテリーシミュレータとしても異なるSOC条件下での動作シミュレーションや特定の電池特性のV-Iカーブに負荷をかけることができます。評価テストの実施ハイブリッドインバータや電力貯蔵コンバータ(PCS)を対象に、電池の充放電を行う電力変換装置のシミュレーションを対応できます。

Chroma 17040と17040Eは、バッテリーテスタとバッテリーシミュレーター両方を搭載

17040Eシステムは1台で200kW/1,700Vを実現し、Front of Meter(FOM、またグリッドスケール)の試験に適しています。17040システムは1台で60kW/1,000Vを実現し、家庭用(Res)および商用(C&I)システムの試験に適しており、バッテリーキャビネットやそれに接続した製品を試験するために、バッテリーテスタとバッテリーシミュレータ機能を備えています。

電圧/電流の自動レンジ切り替え機能は電流の動的な変化に応じて正しいレンジに自動的に調整し、高サンプリングレートと測定技術により、動的な測定精度と最適な測定結果を提供いたします。ダイナミック電流/電力モードの波形機能に加え、1ms(10~90%)の電流立ち上がり時間により、キャビネットを周波数調整する際のパワーコンディショニングシステム(PCS)の充放電挙動をシミュレートします。 また、高速応答電流の条件下では、スイッチング時にサージ電流が発生せず、DUTを保護いたします。 双方向の回路構成により、高効率の放電エネルギー回生が可能であり、グリッド上の他の機器に異常をきたさないというグリッドの特性に沿って、正逆の交流電流を正確に制御することができます。また、グリッドの異常を検知した場合は、主回路を瞬時切断し、安全性を大事にします。

BatteryProソフトウェアは、BMS通信装置、データロガー、恒温槽などのサードパーティ製ハードウェアを統合し、そのデータを用いて試験手順の制御、周波数調整プロセスによってバッテリーセルの電圧変化の検出、キャビネットの欠陥を特定します。バッテリーシミュレーターソフトウェアは、異なるバッテリー状態(SOC条件)を管理し、製品の充電・放電試験状況をモニターし、エネルギー貯蔵インバーターやバッテリーの評価することができます。

Chroma 自動検査システム

太陽電池/蓄電デバイスのテストプラットフォームを構築するには、グリッドシミュレーション用のAC電源やAC電子負荷、太陽電池アレイシミュレーション用電源、バッテリーシミュレータなど、複数の機器を使用する必要があります。

上記の双方向DC電源62000Dやバッテリーシミュレータ17040E&グリッドシミュレータ61800を統合した最新の自動テストシステム8000を発表しました。双方向直流電源、エネルギー回生式負荷、バッテリーシミュレータ機能など5種類の機能が搭載し、テスト対象物のエネルギー出力を電力網にフィードバックして直接リサイクルすることで、機器コストの削減、機器容量の節約、省エネ・省CO2を実現します。


▲太陽光発電/蓄電インバータ テスト ツール エネルギー フィードバック システム アーキテクチャ