
eDP(Embedded DisplayPort)は、VESA(Video Electronics Standards Association)が組込みDisplayPort向けに策定したディスプレイインターフェース規格です。A291803信号モジュールはeDP 1.4a規格に準拠しており、最大で4台のA291803モジュールを拡張して同時出力することが可能です。これにより8K UHD(Ultra High Definition)映像出力をサポートし、Chroma 2918本体と組み合わせることで、最大8K(8192 × 4320)@120Hzの解像度テストに対応し、8K映像試験においての高水準の要求を満たします。
* VESAはVideo Electronics Standards Association(ビデオ電子標準化協会)です。


A291803はeDP 1.4a規格に準拠し、最大HBR3の伝送レートをサポートします。最大4+4レーン構成での出力に対応し、1.62 / 2.16 / 2.43 / 2.7 / 3.24 / 4.32 / 5.4 / 8.1 Gbpsの8種類のレーンレート設定を選択可能です。ユーザーは被試験デバイスのテスト要件に応じて、解像度やレーンレートを柔軟に設定でき、多様なテストアプリケーションを実現します。
信号伝送のマージンテストのため、A291803はLink Training自動(AUTO)モードに加え、独自の手動(MANUAL)モードを提供し、AUXハンドシェイク、レーン数(Lane Count)、スイングレベル(Swing Level)、およびプリエンファシス(Pre-Emphasis)に関するパラメータの選択設定が出来ます。
- AUX Handshake:Full / Fast / No Training / Direct
- Lane Count:1 / 2 / 4 / 4+4 lanes
- Selectable Training table:Low / High /eDP1.3 Compatible / User Define
- Swing Level:200 / 250 / 300 / 350 / 400 / 450 / 600 / 800 / 1000 mV
- Pre-Emphasis:0 / 3.5 / 6 / 9.5 dB
この手動設定により、eDPインターフェース検証におけるエッジケースのテストやデバッグ時の柔軟性が向上します。


A291802は色深度として 6 / 8 / 10 ビットをサポートしており、テスト用にどれかの色深度を選択できます。例えば、色深度 10 ビットでは各原色が 1024 階調(210)に分割され、約 10.7 億色(210 R × 210 G × 210 B)を表現することができます。これにより、ユーザーは必要に応じて検査アプリケーションを自由にカスタマイズできます。
パネル自動リフレッシュ(PSR: Panel Self-Refresh)技術とは、システムが画像更新を行わない静的動作状態にあるときに画面更新のデータ伝送を停止し、システム全体の動作消費を抑えることで、モバイル機器の使用時間を効果的に延長する仕組みを意味します。例えば、スマートフォンがホーム画面など静止画を表示している際には、伝送信号を停止し、パネルモジュール内のメモリが自動的に画面を更新します。この機能を実現するには送信側と受信側の双方がPSRをサポートしている必要があります。送信側が固定された静止画を出力している場合、Main Link(映像データ制御)を介して通知が行われ、受信側はその画面を内部メモリ(RFBコントローラ制御)に保存して表示します。このとき送信側は画面データの送信を停止でき、省エネ化と全デバイスの消費電力削減を実現します。

最新世代の省電力技術であるPSR2(Panel Self-Refresh 2)は、画面の一部のみを更新するセレクティブアップデート(Selective update)に対応しています。送信側から更新が必要な位置情報を送信することで、受信側は対応する領域のみを更新します。つまり、GPUは更新が必要な一部のデータだけを送信すればよくなります。さらに、PSR2は高度リンク電源管理(ALPM: Advanced Link Power Management)もサポートし、受信側が待機状態やスリープ状態から迅速に復帰できるよう制御します。A291803は更新すべき画面位置を指定して選択し、検出を行う機能をサポートしています。(オプション)


A291803はVDD過電圧保護(OVP: Over Voltage Protection)および過電流保護(OCP: Over Current Protection)機能を搭載しており、ユーザーは保護の閾値を自由に設定できます。出力中に被試験体の電流や電圧が設定値を超えた場合、即座に保護装置が作動し、被試験体の損傷を防止します。さらに、電源投入時に発生するラッシュカレント(Inrush Current)によって保護機構が誤動作しないよう、遅延起動保護機能(Protection Delay Time)を備えており、テストの中断を防ぎます。
A291803はVDD低電圧保護(UVP: Under Voltage Protection)および低電流保護(UCP: Under Current Protection)機能を備えており、被試験体の動作開始から終了まで電圧や電流が設定値を下回っていないかをリアルタイムで効果的に確認できます。例えば、部品が動作条件に達していない場合や、回路が異常に下限値で動作している状態などを検出することが可能です。


電源、信号、制御ピンをそれぞれ独立して起動することができ、タイミング編集の最小単位は1msです。ユーザーは電源、信号、制御ピンの出力におけるリード/ラグのタイミングを自由に設定でき、シャットダウン時のタイミングもユーザーの要求に応じて設定可能です。
静電気放電(ESD, Electrical Static Discharge)は電子製品にとって解決すべき重要な課題です。通常動作している電子製品でも、ESDの影響を受けると不安定な現象が発生したり、機能不良や破損につながることがあります。集積回路が製造過程でESDにより損傷するのを防ぐために、A291803はIEC/EN 61000-4-2静電気保護規格(15kV Air / 8kV Contact Discharge)に準拠しています。さらに、ESD保護回路を内蔵しており、ESD衝撃に対し内部回路を完全に保護します

より薄型で低コスト、低消費電力のパネルを実現するために、VESAはeDP 1.4a規格にMSO(Multi-SST Operation、SST:Single Stream Transport)技術を導入しました。これは「分割パネル表示」の表示アーキテクチャであり、4本の高速eDPインターフェースデータチャネルを2〜4個の独立したパネルブロックに分割する仕組みです。また、A291803は、3種類の駆動モードをサポートしています(オプション):
- One Lane, Two SST Links each (1x2)
- Two Lanes, Two SST Links each (2x2)
- One Lane, Four SST Links each (1x4)
▲ One Lane, Two SST Links each (1x2)
▲ One Lane, Two SST Links each (1x2)
▲ One Lane, Two SST Links each (1x2)
パネル生産検査にかかる時間を節約するため、A291803はeDP 1.4a規格のMSO技術に準拠し、FPD Masterソフトウェアを通じて0〜8ピクセルのパラメータ値に基づくオーバーラップ(Overlap)機能の設定が可能です。ソフトウェアはユーザーが選択したピクセルパラメータ値に従って、自動的に対応するオーバーラップタイミングの数値を計算し、ソフト上に表示します。これにより、手動で相応する数値を計算する時間コストを大幅に削減できます。(オプション)
次世代パネルの可変リフレッシュレート技術において、A2918030は高速リフレッシュレート機能の利点を活かし、連続的に画像の更新が行われる状況で被試験製品の機能が正常かどうかを検証することができます。4種類の検査モード(Saw、Ramp、Square、Arbitrary)を搭載しており、標準モード(Saw / Ramp / Square Mode)では1〜50ステップと1〜600秒の時間間隔を設定し、リフレッシュレートを自由に調整できます。さらに、任意モード(Arbitrary Mode)では最大5つの周期(Period)を同時に設定・切り替え可能で、パネルリフレッシュレートのテスト機能を完全にカバーします。(オプション)

▲ SAW

▲ Ramp

▲ Square

▲ Arbitrary

A291803は温度検知機能(Temperature Sensing)を備えており、モジュールの温度変化を監視して制御ユニットにフィードバックします。内部温度が上昇するとファンの回転速度を上げ、逆に低下すると速度を下げます。この監視方式により、ファンの風量を自動的に調節し、作業環境の騒音を低減すると同時に装置の最適な動作温度を維持し、機器の寿命を延ばすことができます。
DSC(Display Stream Compression)映像ストリーム圧縮技術の応用では、送信側では伝送する映像データをまずエンコード圧縮(Encoder)し、高解像度データを低帯域幅で出力できるようにします。受信側では受け取った映像データをデコード解凍(Decoder)し、視覚的にロスレスな圧縮技術により、復元後の映像データを劣化なく画面に表示することができます。(オプション)

日本ITE協会(The Institute of Image Information and Television Engineers)の認可を受け、多様な8K高解像度・広色域テストパターンを提供することができます。(オプション)



本機の応用範囲:パネルメーカー、ドライバIC設計、修理センター、PCB基板テスト、自動化検査装置メーカー、ICエージングテスト、デモンストレーション、製品検証など。

Panel Manufacturer

Driver IC Design

Repair Center

PCB Substrate Testing

Automatic Testing
Equipment Manufacturer

IC Reliability Testing

Demonstration

Product Verification
